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漆の魅力:世界中を虜にした唯一無二の塗料


漆

漆にはたくさんの魅力があることをご存知でしょうか。様々な用途に使用できる漆には他の塗料にはない漆の魅力がぎゅっと詰まっています。漆についてあまりご存知ない方、興味があり漆器を使ってみたいという方に向けて、漆の魅力とおすすめの漆器をご紹介します。


漆は木から採取した樹液

漆は、樹齢15年以上経っているウルシの木から採取した樹液です。樹液は漆の木に道具を使って傷をつけて集めます。木から漆を採取することを「漆掻き」と言い、大変難しいので専門の職人が行います。1本の木からたった200gしか取れないとても貴重なものです。


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縄文時代から続く漆の歴史

漆自体の歴史は古く、なんと縄文時代から使われていました。約9,000年前に注口土器の副葬品が出土されています。出土されたものの中には、漆を使った矢などの武器、お椀や土器、櫛や腕輪などの装飾品などが多く確認されています。


縄文時代以降も日本では古くから漆が塗料として使われています。武具、寺社仏閣、仏壇、装飾品など様々なものに用いられ、昔から欠かせない塗料でした。


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他の塗料にはない漆の魅力

・年月を増すごとに色や質感が変化する

塗りたての漆ももちろん美しいですが、何年も使い続けると段々と深い色に変化していきます。漆は年数を経て少しずつ透明になるという性質を持っているので、長く使い続けることにより光沢や艶感がうまれるのが魅力の一つです。


さらに、漆を幾重にも塗り重ねることで色が鮮やかになります。塗り重ねた漆が徐々に透明になってくると光を吸収、屈折し、光の当たり方で異なる輝きを見ることができます。


・防腐性・抗菌性がある

防腐性、抗菌性のある漆は昔から食器の塗料として木の器に塗られていました。漆器に盛り付けられた料理は雑菌の繁殖を抑えてくれるので食材が腐りにくいです。漆が塗られた器は、見た目の美しさだけでなく機能性や衛生面でも大きな魅力があると言えます。


・手触り・口当たりが優しい

漆が塗られたものは手触りが良くぴったり手に馴染みます。また、漆塗りの器やカトラリーは口当たりが良く、他の素材にはない滑らかな質感が魅力的です。金属のカトラリーのように、食器と当たって傷がついてしまうことも、カチャカチャ音が鳴らないことも漆塗りの魅力です。


・様々な素材に塗ることができる

漆は木材に塗られることが多いですが、他の色々な素材にも塗ることができるのも魅力です。異素材と組み合わせることで一つ一つ違った風合いを楽しむことができます。


漆と組み合わせる素材


和紙

「一貫塗り」と呼ばれる。和紙の質感と漆の艶やかさが魅力。

陶器

「陶胎漆器」と言う技法。木材ではできない美しい形やしっとりした質感が魅力的である。

「藍胎漆器」と呼ばれる。丈夫な竹との組み合わせは縄文時代から活用されている。

ガラス

ガラスに描く漆の模様は他にはない美しさが魅力。


・接着剤としても使用できる

漆は美しい塗料としてだけでなく接着剤としても使用することができます。蒔絵や螺鈿といった装飾を施すために漆が使われています。

接着の強度が高いので、割れたお椀やグラスもくっつけて修復することができます。「金継ぎ」という伝統的な修復技法で、縄文時代から行われていました。大切に使っていた器が趣のある器に修復できるのは魅力的です。


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海外から高い評価のある漆の魅力

17世紀になるとヨーロッパでは漆器が王侯貴族の間で広がりました。漆が採れないヨーロッパでは様々な工夫を凝らして漆に似せた塗料を作りましたが、漆の色艶、質、耐久性において本物の漆には及びませんでした。そのため、ヨーロッパ人の好みにあつらえた漆塗りの調度品は豪華で気品溢れる装飾で人々の心を鷲掴みにしたそうです。 


フランス国王ルイ16世の王妃マリー・アントワネットも漆器に魅了された一人です。アントワネットの母親、女帝マリア・テレジアも「私はダイヤモンドより漆器よ」と言うほど熱心な漆器コレクターで、ウィーン宮殿に「漆の間」と言う部屋を用意したほどです。

ヨーロッパの人々にとって漆は魅力的な存在だったことがわかります。


漆器を使ってみたい方におすすめのアイテム

漆にはたくさんの魅力があることがわかったと思います。漆器を使ってみたい方に向けて、初めての漆器でも普段使いしやすいオススメのアイテムを3つご紹介します。


汁椀

漆器は断熱性が高いので汁物を入れるのに最適です。お椀を手に持っても熱くないので、ぜひ体験してみてください。高い断熱性のおかげで最後まで温かい汁物をいただくことができます。

また、お味噌汁はお椀に口をつけて飲むことが多いと思いますが、口当たりが良くより一層美味しく感じられます。


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飯碗

使用頻度が高い飯碗はぜひ漆器のものを使ってみてください。飯碗は手に持って食べるものなので手触りの良さは重要です。漆器の飯碗は、毎日使っていくうちに手に馴染んで漆器の飯碗以外は使いたくなくなるくらい魅力があります。


お箸

毎日自炊しない方も、お箸だけなら漆器のものを取り入れやすいです。プラスチックのお箸とは全く違う質感でいつもの食事がワンランク上のものに感じられると思います。身近に漆器の魅力を感じてみてください。


まとめ

昔から日本で使われてきた漆の魅力を知っていただけましたか。漆塗りのものは高級品のものが多いですが何十年も使い続けることができます。ご興味のある方はぜひ漆の魅力を体感してみてください。


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