菓子切りとはどんなものか知っていますか?和菓子を食べるときに使う「お菓子を切るやつ」です。一度は使ったことのある人も多いと思います。今回は、菓子切りが木で作られている理由や使い方、マナーを紹介します。
菓子切りとは
菓子切りとは、茶道具の一つで茶菓子を食べるときに使うものです。一般的な家庭では、菓子切りの代わりに爪楊枝を使うことが多いです。
菓子切りには、象牙や金物、黒文字などいくつか種類があります。茶会に出席するときは持参しておくといいでしょう。茶会の中には、茶道初心者が多いとわかっている場合はあらかじめ菓子切りを用意しておいてあるところもあります。
しかし、本格的な茶会や、ある程度茶道の知識がある人が多い茶会は、菓子切りと懐紙は必需品です。茶道を習っている方や茶会に出席する予定のある方は、茶道具を揃える前に、菓子切りと懐紙は最低限用意する必要があります。
菓子切りが木で作られているワケ
クスノキ科の「クロモジ」という木から作られていいる菓子切りは、茶道では「黒文字」や「黒文字楊枝」と言われています。千利休の弟子の古田織部が黒文字を使っていたことで、多くの人に広まりました。
近年では、木だけでなくステンレスやプラスチックなどの材質で、おしゃれなデザインが施されているものも人気です。ステンレスやプラスチックの材質のものを菓子切りと呼び黒文字と区別していましたが、今は全て菓子切りと呼ばれています。
今回はプラスチックやステンレスではなく、菓子切りの黒文字が「クロモジ」という木から作られている理由をみていきましょう。
殺菌作用があるから
木には殺菌作用があり、使った後も処分しやすいからだと言われています。茶会では、新しい菓子切りをその都度持参するそうです。殺菌作用があるので清潔感が保たれ、安心して口に運ぶことができます。
魔除けの力があると信じられていたから
クロモジの木の独特な香りが魔除けの効果があると信じられていました。
日本の文化に、香道という木の香りを聞く文化があります。香道では「かぐ」ではなく「聞く」と表現します。香には何種類かありそれぞれの香を聞いて楽しみます。その香道という文化に関連して木の香りに魔除けの力があるとされていました。
菓子切りを使うときのマナー
お菓子には食べ方のマナーがあります。お菓子の種類別で違うので、茶会で困らないようしっかりマナーを覚えておきましょう。
お菓子の切り分け方
茶会で出されたお菓子を懐紙ごと持ち、黒文字で一口ずつ切って口に運びます。3~4口で食べきれる大きさに切りましょう。
お菓子を切った後、右上から斜め左下に黒文字を刺して口に運びます。お菓子の上や真横から突き刺さないように気を付けてください。右上から刺すとお菓子が懐紙からこぼれることがなく、お菓子の形も崩れません。
主菓子(生菓子)の食べ方
主菓子は、黒文字で切って食べることがほとんどです。前述した通り一口ずつ切って食べてください。串にささっているお団子は黒文字で串から外し、切り分けていただきます。難しいので、慣れていない方は串のまま食べましょう。
しかし、最中やお饅頭のなど黒文字を使わない主菓子もあります。最中やお饅頭は片手で懐紙ごと持ち上げ、反対の手で一口にちぎって食べます。
干菓子の食べ方
干菓子は黒文字を使いません。小さいお菓子は一口で食べ、大きいお菓子は一口の大きさに割って食べましょう。
菓子切りは骨董品
黒文字は使い捨てされることからよく消耗品として扱われますが、他の茶道具と同じように骨董品として価値のある菓子切りもあります。
金物や象牙で作られた菓子切りや、竹細工や塗り物の菓子切りも価値のある可能性があります。自宅に古い茶道具や菓子切りがある方は、古いからといってすぐに捨ててしまわずに鑑定に出してみるといいかももしれません。
ただし、完成したてが最上と言われている黒文字は骨董品としての価値はありません。
漆塗りの菓子切りがおすすめ
木製(竹製)、漆塗りの菓子切りは、最後まで美味しく和菓子をいただくのにぴったりです。
木製の菓子切りは、ステンレス製とは違い温度変化が少ないのが特徴です。木の優しいぬくもりは、季節を問わず和菓子を味わえます。また、漆塗りの菓子切りは他の材質では感じられない高級感があります。
まとめ
漆塗りの菓子切りは、末永く使うことができます。普段使いにするのはもちろん、お茶会に出席する時や特別なお客様にお菓子を出す時にも使ってみてください。お菓子の美味しさが引き立ち特別な時間が味わえると思います。
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