漆器のことを調べていると加飾という言葉をよく目にすると思いますが、一般的になじみのない言葉だと思います。 では漆器において加飾とはなんのことなのでしょうか。今回はそんな加飾のことについて詳しくご紹介いたします。
漆器の加飾とはなんのこと?
漆器というと、漆を使用して黒色、朱色で塗り上げたものを思い浮かべると思います。実際、漆器は一色だけを使用した光沢のあるものがほとんどです。
漆は塗ったものをきれいに丈夫にするだけでなく、接着剤みたいに物をくっつける効果もあります。接着剤のような効果を利用して金粉を付着させたり、貝を埋めたりしてもっときれいに見せようと装飾が施されるようになりました。
この漆器に装飾を施すことを加飾といいます。 ここからは様々な加飾の方法を簡単に説明していきます。
一番有名な蒔絵
加飾の中で一番有名なのは「蒔絵」です。蒔絵とは漆で絵を描き、乾ききる前に上から金粉や銀粉を蒔いて絵を表現する技法です。
漆には接着剤のような効果があるので絵を描いた部分にだけきれいに粉が残り、装飾ができます。 漆は一度乾くと液状に戻ることはないので、一度蒔絵の装飾を施すと摩耗して削れていく以外に絵が消えることはありません。
蒔絵の派生系の螺鈿
美しい光沢をもつ貝を細かくし、漆を使って付着させる加飾を「螺鈿」といいます。 蒔絵の要領で金粉や銀粉の代わりに螺鈿は貝を付着させます。
貝を付着させるとそのぶんの凹凸ができるので、そこにまた漆を塗り磨いて凹凸をなくし完成です。
漆を削って加飾する沈金
彫刻刀のような道具で漆を塗った表面を削って、削ってできた溝に漆を流して金箔や銀箔を張り、余分な部分の箔を取り除いて絵を描く加飾を「沈金」といいます。
平文・平脱
金属の板を絵柄に切り取り、そのまま漆器の表面に張り付ける加飾を「平文(ひょうもん)」または「平脱(へいだつ)」といいます。
張り付けた後に上から漆を塗って磨いて光沢をだします。
いろいろな色で描く漆絵
漆は黒や朱だけでなく、黄色や緑などいろいろな色があります。 それらの漆で直接絵を描く加飾を「漆絵」といいます。金銀できらびやかな蒔絵などとは違い地味なので、上流階級の人たちにはあまり好まれていなかったようです。
技術と手間が一番の彫漆
漆は何回も塗って研いで、塗って研いでを繰り返してきれいかつ丈夫に仕上げていきます。 最終的に数ミリの厚さにまでなります。この漆に彫刻して文様を作る加飾を「彫漆」といいます。
いまでは機械をつかったりで簡単にできることもありますが、手作業で行うにはものすごい技術と手間が必要な加飾方法です。
まとめ
今回ご紹介したように、漆器の加飾方法はたくさんあります。 紹介したのはメジャーなものばかりで地域特有のものなど他にも様々な加飾方法があり、いまでも生み出されています。 黒、朱の一色の漆器も美しいですが、加飾を施した漆器も違った味わいがありとてもいいものです。加飾法を理解して漆器の装飾を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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