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越前漆器の歴史は1500年!全国一の伝統漆器!


漆器と言うと、工芸品のイメージが強く高価なものを連想し、つい敬遠してしまいがちですよね。せっかく購入しても、もったいなくて使ないと思っている方もたくさんいらっしゃることでしょう。今回は、歴史の古い「越前漆器」について詳しく説明します。


越前漆器って何?

福井県の鯖江市で制作される越前漆器は、蒔絵や沈金を施された上品で晴れやかな作品が多く、祝い事や祝儀用調度品に用いられることが多いのが大きな特徴です。


「うるし」には、時間がたてばたつほど硬化する性質があり、硬化すると透明度が増すため、何十年も経つほど美しく光沢がでます。


1500年も前に発祥した越前漆器

越前漆器の歴史は、1500年も昔にさかのぼります。


第26代継体天皇が越前国にお越しになったときに、冠の修理を片山集落の「塗師」に命じました。塗師は、冠の修理だけでなく黒漆を綺麗に塗ったお椀を継体天皇に献上しました。 継体天皇は、この器をいたくお気に召し、片山集落での器づくりを奨励しました。 これが「越前漆器」のはじまりと伝えられています。


逸話の注目するべき点は、1500年前の時点で、すでに継体天皇が感動するような器をつくる技術を持っていたということです。


越前漆器はたくさんの職人で成り立っている

越前漆器は一人の職人がすべて工程を仕上げてしまうようなものではありません。たくさんの職人によって分業され、それぞれの工程で専門の職人がいるのです。

作業別に専門の職人についてまとめました。

木地師

越前漆器の最初の工程は、木地と呼ばれる土台作りです。漆を塗る器や家具の制作です。 材木の選定から、乾燥などの工程も気を抜けません。

越前漆器に用いられる木地は、カツラ、トチ、ケヤキ、ホオ、サクラなど硬い材木が用いられます。歪んでしまうと漆器として使えなくなりますので、乾燥の工程は特に重要となります。

こうした工程を受け持ち、漆を塗る土台である「木地」を作成するのが「木地師」の仕事となります。


現在では木製のもの以外にも、金属、ガラス、合成樹脂などの材質も多く使用されています。


塗師

塗りの工程には下塗りと上塗りがあります。


下塗りでは、漆を塗って乾かし表面を研ぎます。研いだらまた塗るという作業を何度も繰り返します。

上塗りでは、上質な漆を使って塗りムラができないように塗り上げます。刷毛のあとを残さないように塗る技術を「塗立」と呼びます。

上塗りの工程では、湿度と温度の管理がとても重要で、均一に表面を塗り上げる高度な技術が必要とされます。


下塗りや上塗りで埃や髪の毛などが付着すると失敗となるので、熟練の職人でも細心の注意を必要とする作業です。


漆は、酵素によって水分中の酸素を取り込んで硬化するという珍しい性質を持っています。 普通の洗濯物なら、湿度の低い方が乾きますが、漆の場合、湿度が70%程度あり、温度が25~30度あった方が硬化が進みます。


蒔絵、沈金

蒔絵とは、漆の上に金粉で施された美しい模様のことです。蒔絵筆に漆を含ませて模様を描いた後、金粉、銀粉を蒔いて色付けをします。


うるしには、接着剤として用いられる面もあり、金粉、銀粉が落ちにくいのが蒔絵の特徴です。研ぎと磨きを丁寧に繰り返し、完成となります。金粉、銀粉を蒔き、研ぎ、磨く方法の違いで「研出蒔絵」「平蒔絵」「高蒔絵」などの種類があります。


沈金とは、沈金刀という刃物を用いて絵柄、模様を刻み込み、金箔粉や顔料を漆で定着させる方法です。「線彫り」「点彫り」「片切彫り」などの技法があります。 沈金も、漆の硬化の強さによる接着剤としての性質で、金箔が落ちにくいのが大きな特徴です。

越前漆器を普段使いしよう

漆器のよさは「普段使い」してこそ際立ちます。理由は漆器の特徴にあります。


漆器は使えば使うほど光沢が増し、風合いがよくなりますし、防水、防菌、防虫、耐熱、絶縁など、非常に頑丈で便利という特徴があります。安物の器を何度も買い替えるよりも、「漆器」を購入して毎日使う方が効率的ですし、気分もいいですね。


まとめ

越前漆器は非常に上品で豪華で美しく、普段使いには用いにくい印象ですが、うるしの本来の特徴を生かすには、大事にしまっておくよりも日常生活で使用することが大切です。

こうした上品で美しい汁椀で、毎日お味噌汁をいただくと、気分もお上品でリッチになりますよね。

ぜひ、越前漆器を日常生活でどんどん使っていただけたらなと思います。

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