生け花と聞くとすごくハードルが高いイメージがあると思います。 しかし、現在は昔よりも気軽に楽しめるようになってきています。 今回は初心者が悩みがちな流派の違いや、揃えておきたい道具などをご紹介していきます。
生け花の流派
まずは生け花の流派について知っておきましょう。 華道の流派は300以上あります。その中で代表的な三大流派と呼ばれている流派があり、「池坊(いけのぼう)」「草月流(そうげつりゅう)」「小原流(おはらりゅう)」の3つです。
・池坊 池坊は日本で一番古い華道家元になります。 家元の先祖が生け花そのものを生み出しているので他と違い「流」とつきません。
池坊には「立花」「生花」「自由花」と3つの決まった形があります。 「立花」「生花」は決まった形を学ぶため、あまり面白味を感じられないことが多いようです。ですから初心者は「自由花」という特に決まりのない自由花から習わせることが多いようです。
生け花には資格などもたくさんあり、しっかり華道を極めたいという人は池坊がおすすめです。
・草月流 草月流は「自由」といった流派です。
草月流では、「生ける」という表現はせず、「造形る」「変化る」などと表現します。 これといった形式にとらわれることなく、個性を活かした生け方ができます。
・小原流 19世紀末に小原雲心(おはらうんしん)が「盛花」という新形式のいけばなを作ったことがはじまりです。 「盛花」は口の広い平らな器にお花を盛るように生けるもので、広がりを強調するところに特徴があり表現方法は様々です。
初心者が揃えるべき道具
初心者がまず揃えておきたい道具をご紹介します。
・花ばさみ 花や枝などを切るためのハサミです。 値段の幅が広いですが、初めはこだわらずに自分に合った価格帯のものを用意しましょう。
・花合羽 お花を持ち帰る際に包むものです。 花袋を持っているのであれば、新聞紙でも問題ありません。
・花袋 花合羽で包んだお花を持ち帰る袋です。 値段は1,000円~2,000円くらいのものです。
・エプロン 生け花は座って作業をすることが多いので、ひざ上が汚れてしまうことが多いです。 ですので、膝のあたりまでカバーできるタイプのエプロンでポケットがたくさんあるとハサミなどの道具をいれられるのでおすすめです。
初心者向けのお花
生け花の準備はお花選びからです。 自分がいけたいお花を選ぶのはもちろんいいのですが、お花の性質によって初心者には難しいものがあります。
・お花屋さんで安く手に入れられる ・花と葉が大ぶりなもの ・枝分かれがなく、枝が少ないもの ・個性が強いもの
これらのものが扱いやすいお花になります。
ガーベラ
華やかな色合いで人目を惹く花びらが特徴的です。 単体でも作品のメインになり、低く生けることで作品の印象を引き締めてくれます。 とても扱いやすいお花になります。 向いてほしい方向を向き、勝手に動くこともないのでとても優等生なお花です。
チューリップ
かわいらしさのなかに美しさもある立ち姿。 華道では芸術的な曲線美を重視するのですが、チューリップはありのままで芸術的なラインを描いてくれます。
フリージアやカラーも同様なお花としてあげられます。
アンスリウム
花なのか葉っぱなのか変わった外見をしています。 色合いも鮮やかでインパクトが絶大です。 主役としてだけでなく、脇役としても活躍間違いなしのお花です。
ドラセナゴッドセフィアナ
亜熱帯植物のドラセナの仲間です。 どんなお花に添えても上手に引き立たせてくれる名脇役です。グリーンをベースに白や黄色の淡い模様がはいっている葉は豊かな彩りを与えてくれます。
モンステラ
大きい葉っぱに切り込みをいれたような穴が所々にあいていて、存在感のある花材です。 大きなフォルムは面白さのほかに作品の足元を隠す役割を担ってくれます。
剣山を使って生けるときのポイント
剣山を使って生けるときの一番のポイントは剣山を上手に隠すことです。 剣山にお花を挿したら葉っぱで隠すようにしましょう。剣山が見えていないほうが仕上がりが美しく見えます。
また全体が左右非対称の三角形になるように意識することで生け花に動きができて、表情豊かに見えます。 少しでもこういったところに意識を向けるとより生け花の魅力に気付けるのではと思います。
生けたお花を長持ちさせるために
生けたお花は必ずしも枯れてしまいます。 しかし、せっかく生けたのですからできるだけ長持ちをさせたくなると思います。 ここからは長持ちさせるテクニックのご紹介をします。
水をこまめに入れ替える
当然だとみなさん思いますが、大事なことです。 水の劣化はとてもはやいです。遅くても3~4日、夏場であれば毎日入れ替えるぐらいでないとお花に悪い影響を与えます。
高温を避ける
植物は太陽に当てたほうがいいと思っている方が多いと思いますが、生けた状態で太陽に当て高温にしてしまうのはお花を寿命を縮めてしまいます。
直射日光と風の当たる位置は避けるようにして、涼しい場所で飾るようにしてください。 また、花器のお水の交換で温かい水はご法度なので注意してください。
水切りを行う
聞きなれない言葉だと思いますが、簡単にできるテクニックです。
水切りとはお花を生ける前に、根元を水の中に浸してその水中にはさみをいれて斜めに根元を切り落とすことをいいます。
これをしておくだけでお花が水を吸い上げやすくなります。 水切りを行ったお花は、生けるまでバケツなどにいれて切った断面を空気に触れさせないようにしましょう。
うまく生けれないときのテクニック
お花が向いてほしい方向を向かなかったり、勝手に動いてしまったりという悩みはつきないと思います。
お花が勝手に動くと全体のバランスを崩すことになってしまいます。 その悩みを解決するテクニックをご紹介します。
根本を斜めに切り落とす
剣山を使っているとよくある問題なのですが、うまくいかず何度も挿し直ししていると根本が柔らかくなりうまく挿せなくなることがあります。 一番は挿し直しをしないことなのですが、初心者はそうもいかないと思います。 根本を弱らしてしまったときは、斜めに切り落としましょう。 斜めの断面は、剣山で安定しやすいですし、挿しやすくなります。
お花を挿すたびに全体の重心をひきあげる
瓶に生けているとき花を挿せば挿すほど全体が瓶に引き込まれていき、重心が低い作品になってしまうことがあります。
これを防ぐためにお花を挿すたびに全体を持ち上げて重心を戻すことが大切です。 挿すたびに全体をチェックするようにしてください。
「留め」を使う
瓶に生けるとき、お花が動いて思うように生けれないということがよくあると思います。 留まりやすい内壁の花器を選ぶのが一番いいのですが、なければ留めのテクニックを駆使しましょう。
・枝や茎を折り曲げて内壁に沿わす「折り留め」 ・竹ぐしを根元に突き刺した状態で瓶に挿して内壁に引っ掛ける「縦割り留め」
これらは初心者にも簡単にできます。
おすすめの花器
まとめ
華道は一度始めるととてもおもしろく、お花に触れる暮らしはとても癒されます。 今回の記事の内容を覚えて頂き、やろうか悩んでいた方は一度教室などに行ってみて下さい。 新しい楽しみに出会えますよ。
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